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2017年はオムニチャネルの年:実店舗の返り咲き2017年はオムニチャネルの年:実店舗の返り咲き

オムニチャネルが2017年の中国トレンドのキーワードであるが、小売企業にとっては全く新しいコンセプトではない。

by Azoya

オムニチャネルが2017年の中国トレンドのキーワードであるが、小売企業にとっては全く新しいコンセプトではない。

90年代、主要小売企業はすでにデジタルマーケティングをセールスチャネルの一端として組み込んでいた。ビッグデータの解析は新しいことではなく、また、実店舗の顧客をオンラインでの購入者へ、またはその逆へと変えることも新しいことではない。主要なグローバル小売企業はビジネスチャネルの拡張と、顧客体験の向上のために20年以上も前から情報分析技術を駆使していた。

しかし、中国におけるオムニチャネルは異なる過程を経ている。2017年が中国でのオムニチャネルにとって重要な年になる3つの理由は次の通りである。


理由1:消費者行動の変化と消費者中心のアプローチ

消費者行動は、急成長するEC分野、ソーシャルメディアやモバイル決済の台頭により、この数年で劇的な変化を遂げた。中国の消費者が商品を購入できる方法は複数となった。ECサイトでクリックするだけで、消費者は自宅でくつろぎながら、2~3日後の商品配達を待つことができるのである。新しい技術と物流の発達はオンラインと実店舗での消費体験のギャップを埋めている。また、小売企業は盲目的なセールスチャネルの拡張ではなく、消費者中心の方法へと考え方をシフトしている。

オムニチャネルの時代において、現代テクノロジーに精通した小売企業はソーシャルメディアや新しいデジタルチャネルを駆使し、ナビサービス、消費者への情報提供、情報更新、顧客ロイヤリティプログラム、物流など、より良い消費者サービスを提供している。2016年のICSC(ショッピングセンター国際会議)フォーラム会期中に白熱したディスカッションの1つによると、セールスチャネルは消費者ニーズを満たすために使われるべきであり、小売企業はチャネル拡大を目的として拡大すべきではない。

小売企業が実店舗と並行して単にECサイトをローンチし、これをオムニチャネルと呼ぶことには疑問が残る。というのも、今やそれだけでは不十分だからである。価格の同一性や、様々なチャネルでの共通レベルのカスタマーサービス、また物流能力の向上が求められているからである。


理由2:オンライン市場の競争が激化

EC分野は近年急成長を遂げているが、この数年の傾向を見ると、その成長速度は緩やかになっている。中国国家統計局のデータによると、EC売上の対前年比成長率は2010年の約90%から2016年の第1-3四半期の22.3%と減少している。

トラフィック獲得費用の増加は、小売企業にとってのEC事業参入を難しくしている要因の一つである。2016年のINNIC(中国インターネットネットワーク情報センター)の報告書によると、オンライン店舗を開設する小売企業の数は過去数年で急増したが、ネット通販利用者の増加は6-10%という低い率となっているため、これがトラフィック獲得費用の上昇につながっている。

EC事業の運営費用の増加で、オンライン小売企業は実店舗を通して新しい販路を模索する一方で、実店舗主体の小売企業は売上増加と実店舗への顧客誘導のために、オンラインチャネルの運営を拡大している。これがオンラインと実店舗の間にシナジーを生み、そのソリューションこそがオムニチャネル小売業なのである。


理由3:モバイル決済の普及の最盛期

モバイル決済の普及は中国で非常に高い。10人中6人がモバイル決済で商品を購入しており、小売企業にとって多くのビジネスチャンスを生み出している。WeChat Payのような人気のあるモバイル決済方法は、ソーシャルメディアと統合されており、消費者が公式アカウントのフォロワーとなることで、消費者と小売企業とを結びつかせている。小売企業は消費者がいつどこで何を買ったか、データ分析をもとに情報を得ることができ、消費者の嗜好や行動を把握し、カスタマーサービスを向上することができる。

モバイル決済の台頭は、中国でのオムニチャネルの過程を大幅に加速させた。オンライン及び実店舗の小売企業にとって、モバイル決済は両者の垣根を越えて顧客を誘導する入り口となる。実店舗とモバイル決済の融合は2017年のトレンドを表すキーワードの一つである。

海外小売り企業にとって、中国のモバイル決済方法を自社のECサイトや店舗の決済方法と統合することは、増え続ける中国人旅行者や急成長している中国の中間層の間でのブランド構築の機会となる。一方で、これらの中間富裕層の中国人は高品質の製品にとどまらず、安心で速い決済方法、ナビサービス、コンテンツや会員特典など、カスタマイズされたカスタマーサービスを求めている。